プロフィール&システム

プロフィール〈偽装版〉

2008.2.23

■近影のいいのがないので、10年前のポートレートで偽装
氏名:瀧 田 稔 職業:クリエーティブディレクター 血液型:O型 星座:水瓶座

数年前のこと、親しい友人が酒の席で「このあいだ山手線に乗り込んだら、席を譲られそうになっちゃってさー」と、自嘲気味な笑みを浮かべながらつぶやいた。その友人は、私と生まれた年が同じなのだが、たしかに最近は「浦島太郎のアフター」みたいな風貌をしている。その話を聞いたとき53歳だったから、実年齢より老けて見られたわけだ。シルバーシートは老人や体の不自由な人、妊産婦などのためにつくられた制度だから、その友人は「老人」だと思われたということになる。

むかしにくらべると、ずいぶんと年寄りが元気になっていると思うのだが、今の時代の感覚で「老人」というカテゴリーに入る人を判断する基準は、どのあたりにあるのだろう。「死んだフリが洒落にならなくなったとき」というのが持論なのだが、つまり「見た目」なんだろうという意味だ。

ひと昔前、60歳を過ぎたら老人だと思っていたが、それは自分がまだ若かったから。若いころは誰でも、50代なんてジジイだと思っているものだが、じっさい自分がその年齢になってみると、なにも変わっていない自分がいることに気がつく。もちろんシワやシミは顔中にはびこっているし、肌の張りも失われて外観はジジイかもしれない。だが内面はちっとも大人になっていない若造をひきずったままの、宙ぶらりんな中年男。

「老人」も「オヤジ」も「年寄り」も、見た目で他人が判断しているだけのこと。年齢とカテゴリーは一致していない。80代90代で、とんでもなく欲望・好奇心満々で活躍されている人はたくさんいる。一方、20代30代の若者でも、笑ってしまうほどじじむさい物の考え方、老けた行動をする奴はいる。

私は美術大学出身なのだが、同期会とかOB会などで顔をあわせると、皆とても若く見える。アート関係の仕事をしている奴から、主婦をがんばっている人までいろいろだが、全体をながめると、ほかの集まりにくらべて明らかに若々しい。たぶん皆、アートというクリエーティブな素養をもち、慣習や世間にこだわりの少ない生き方をしているからなんじゃないかと思う。

かく言う私は、とりあえず見た目だけは若作りして、ときおり息子に「加齢臭チェック」をしてもらっている。ナルシズムというものは、他者に影響するときには気持ちの悪いものだが、鏡に映る自分の姿を正視できる状態に保つためにゴソゴソするナルシズムは、見た目の老化防止にはとても効果があるのだ。

さてと、白髪染めなくっちゃ。

更新日 2020-04-26 | 作成日 2020-04-26