ヨヨチュウその3

代々木忠のアフォリズム

「グワァッッッッッ!」「ドドドドド!」「ヴォーー!」漫画に擬音語が欠かせないように、AV(アダルトビデオ)にはオノマトぺ(擬音語・擬態語)が欠かせない。「びちょびちょ」「てらてら」「ぐちょぐちょ」「だらだら」「ひくひく」・・・
官能小説に使われているセックス用語を集めた「官能小説用語表現辞典 (ちくま文庫) 」には、身体の器官名称などとならんでオノマトペがひとつのコーナーとして扱われている。もちろんオノマトペはセックス用語なわけではなく「わくわく」「さくさく」「そよそよ」「きらきら」など、セックスの場を想起しないもののほうが多いかもしれない。そんな「いたずらに性欲を刺激する」ためにあらゆる工夫を凝らすAVの中に、すぐれたアフォリズム(金言・箴言・警句)がちりばめられているものがあることを、たぶんほとんどの人は知らないだろう。


AV監督代々木忠氏は、ビデオの中で男優と絡む女性に向かって、叱るように、時に諭すようにこんな言葉を投げかける。


「相手の男の目を見ろ!」
「好きって言え!」
「気持ちよかったら、イイって叫ぶんだよ!」
「どこが気持ちいいの!どこに入ってるの!」
「それはセックスじゃない、男を使ってオナニーしてるだけだ!」
「狂っちゃえ!バカになれ!」

前回「ヨヨチュウその2」でふれた「代々木忠の愛の呪文 」という著書の中には、代々木氏がビデオ撮影の現場で語ったすばらしい言葉「アフォリズム」があふれている。この本は、評論家本橋信宏氏が一冊にまとめたもの。きれい事が通用しないAV撮影の現場で吐露した名言集だ。一般論も、セックスにつながる過激な言葉もあるが、その中のいくつかを紹介してみよう。



自分がこころのなかで作ったものは自分でしか解決できない。

対象を否定的にとらえてしまうと否定したものにエネルギーを与えて
肥大化させてしまう。


彼は常に優等生を演じている。
だからメスを刺激しない。


「がんばりなさい」「世間体を考えなさい」
そうやって育てられたこどもはいつのまにか自分がいなくなってしまう。
親の言うとおりのマニュアルで生きてしまう。
小さいころ「いい子」で振る舞っていると
彼は親の前でいつも「いい子」でいたいから、
自分の欲望をネガティブにとらえて抑圧してしまう。
性的なものまでネガティブな意味づけをしてしまう。
常に努力の人になってしまう。
インポテンツになる男性に共通して言えることだ。


努力とはネガティブな思考だ。
やりたくないことを無理してやるのが努力だからね。
自分が出した周波数は自分に跳ね返ってくる。
いやだなあと思っているとほんとうにいやな相手しか来ない。
自分が楽しんでやれば本当に好きな相手がやって来る。


あんなふうになりたい、
そう思うと反対のことが起きてしまう。
来てほしい、
そう思うと逆に来ない。
知らないうちに反対のデータを入れてしまう。
そうなりたいと思っているけど、なれなかったらどうしようという不安感、
それをからだが読み取ってしまうんだ。

相手に受け入れてもらえないと思ったらほんとうにそうなる。
別れの歌ばかり歌っているとほんとうに別れが来る。
別れるデータをからだに入れてすべてがそれに向かって準備しているのだから。


部長や社長の肩書きでセックスしてしまう。
そこにいるのは本人じゃない。

現代人は今に生きていない。
明日のことばかり考えいている。
出世だとか老後のことだとか
催眠術にかかっている。

感謝とは起きるもの、
するものではない。

あなたは常に相手の鏡になっている。


人間はその人のレベルでしか物を見れない。

小さいころから「かくあるべき」と育てられると、
ほんとうにやりたいことも押し殺してしまい、
自分の中に分離が起きてしまう。
ほんとうにやりたいことがあっても、
「それはだめ」と押し殺してしまう。
そうなるとセックスしても素直に悦べない。
なんと残酷なんだろう。

苦しんでいる人、
それは価値観が根っこを張ってしまっている。
そこに留まろうとしているから辛くなる。
社長の椅子にしがみつこうとしている。
根っこを張って生きている。
だから辛くなる。


人を幸せになんかできない。
幸せにしてあげようとするたびに貸しを作ってしまう。
これだけ尽くしたのになぜわかってくれないんだって、
世の中の男たちは女を幸せにしたいと思っているけれど、
反対のことが起きてしまうのはそういうことだよ。

生き方を変えないとセックスも変えられない。


人間は一日のうちで夜叉になったり菩薩になったりする。

あなたが選んだことを否定するのは自殺行為。
自分の思いを否定することだから。

かっこよくいきようなって思わない。
ありのままの自分をだして生きていく。
怒ったら怒りを出したほうがいい。
気持ちよかったら声をだしたほうがいい。

義務になってしまうと楽しめなくなる。
意識しないで楽しんでしまえばいい。
自分が楽しいことが相手を楽しくさせる。


できるかなと思った瞬間、
自分を信じていないことになる。
うまくやろうとしないで
自分の好きなことをやればいい。

捨てられまいと男に尽くす女は
必ず男に捨てられてしまう。
捨てられまいと先のことを考えているから
彼女は今にいない。
この男を離すまいと考えた瞬間、彼女は先のことを考えてしまう。
今にいない。
今にいない女って魅力的だろうか。

目標のために生きていくのってつらいよ。
そのために今を犠牲にしてしまうんだもん。


いやいやながら仕事をしている人は
セックスも楽しんでいない
セックスを楽しめる人間は仕事も楽しめる。

女がスケベな部分をだしてくれると男ってうれしいんだ。


きれいに見せようとすると作り物になっちゃう。
本物じゃない、
だから心がつながらない。
愛とはありのままに自分をだすこと。
相手に甘えることも愛だ。

嫉妬する自分を認めてやるんだ。
認めるまでは嫉妬する。
嫉妬する自分を愛せればいい。

よっぽど寂しい生活を送ってきたんだね。
レイプ願望って一番ぜいたくだもん。

人間って無視されることが一番つらい。
人間って認められたいんだね。
人間ってみんな触られたいんだね。
甘えちゃえ、
お父さんに甘えられなかったんだろう。
おもいっきり甘えちゃえ。

不感症とは理性が本能に勝利してしまうこと。

好きと言ってみな、いけちゃうから。


自分に自信を持っていたらなんでもさらけだせる。
あなたのやり方でセックスすればいい。
すけべになって楽しめば
結果としてあなたがきれいに見える。

セックスであなたが気持ちよければ相手も気持ちいい。
なんで他人のセックスを真似しなければならないの?
セックスって気持ちよくなるためにするんでしょう。
あなたが気持ちいいことをすればいいんだよ。
他人の真似なんかしなくていい。
自分が気持ちよかったらそれを殺さないで楽しんでしまう。
それがセックスでも生きていく上でも
一番たいせつなこと。

「となりのトトロ」のなかにこんなシーンがある。
水たまりのなかのおたまじゃくしを採ろうとして、
メイは近くに合ったバケツを手に取る。
バケツの底が抜けていたのでおもしろがってのぞいていると、
穴の向こうにどんぐりが見える。
どんぐりを夢中になって拾っているとトトロに出合う。
オーガズムを得るのもそれと同じこと。
自分が好きにやった結果として得られるもの。
自分が感じてることが相手も感じる。
あなたが気持ちよければ相手も気持ちいいよ。
こどものころに覚えたオナニーも努力してないだろう。
オーガズムとは努力して得られるものではない。


射精は肉体レベルのオーガズム。
今おれは挿入よりも心の喜びを知ってしまった。
相手の手を握っただけで、
目と目が合っただけで、
彼女と解け合うことがあるんだよ。
それはもうセックスなんかの比じゃない。
相手が自分に心を開いてくれた瞬間、
心が射精するんだね、きっと。


etc.・・・・・・・



更新日 2020-04-26 | 作成日 2020-04-26