ブッシュドノエル

2009.01.31

昨年9月のリーマンブラザース経営破綻で表面化したアメリカの住宅バブル崩壊。世界経済はいつ終わるともしれないミゾウユウの危機がつづいている。日本の製造業もほとんどが今期大幅な赤字を計上。昨日の日経新聞フロント面の記事は象徴的で「トヨタ、営業赤字4000億円」のとなりに「任天堂、営業益最高に」の記事が。そいうえば暮れのテレビコマーシャルもパチンコ業界だけがやけに元気だった。そんな昨年の話をすると、鬼はもとより誰もが泣きたくなるかもしれないが、ごかんべん。

この一連のコラムで書いたように、乳製品アレルギーを自覚してからは一切の乳製品を摂っていない。家庭内で乳製品を使わない食事にはなんの不自由もないのだが、唯一クリスマスだけは乳製品なしだと味気なくなる。乳製品断ちをしてからのクリスマスは、当初ケーキを食べないで済ませていたが、やっぱりなんとなくテーブルが寂しい。そこで、ある時期から手づくりの「フルーツのゼリー寄せ」をケーキに見立てて食卓を飾っていた。一昨年は近所の和菓子屋に巨大な「練りきりケーキ」を特注した。クリスマスツリーを模した形、中にこし餡がたっぷりの練りきり。これはしんどかった。クリスマスの食卓でむしょうに日本茶が飲みたくなったのははじめてだ。そして昨年の暗いクリスマスを迎える24日。意を決して(おおげさ)クリスマスケーキをつくることにした。
あれこれネット検索して「乳製品を使わないブッシュドノエル」というブログページをみつけた。生クリームのかわりに「豆腐」をつかっている。「へるしーじゃん!」すぐさま東急ハンズで材料探し。すぐ応用したくなる性格なので、オリジナルのレシピにはないマロンクリームをロールケーキの中に仕込むことにした。ココアパウダー、リキュール、粉砂糖、マロンペーストの缶詰めなど、いろいろ仕入れたら総額5,000円を越してしまった。
「5,000円出したら和光のブッシュドノエルが買えるなー」と、早くも失敗したときの後悔をしはじめつつ、初めてのケーキ作りに燃えた。写真の不格好なのが完成品。スポンジも乳製品ぬきでつくった。へたくそな雪の見立てはハンズにあった湿気に強い粉砂糖だ。マロンクリームはレシピにないので試行錯誤
をしたが、結局マロンペーストと豆腐を6対4くらいの割合で仕上げた。マロンに砂糖が入っているから、他につかったのはリキュールだけ。外側のチョコレートクリームは、ほとんど豆腐なので皿を揺らすとプルプルする。だが味はよかった。食べ物の味には正直な息子も完食した。このチョコレートクリーム、多めにココアパウダーを投入したこともあってか、想像していた豆腐の味はまったくしない。TOPSのチョコレートケーキとはいかないが、ちゃんとチョコレートクリームの味がする。製作現場をチラ見した息子が「この豆腐なににつかうの?」と聞くが「明日の鍋に入れるやつ」とか言ってごまかした。また外側のマロンクリームに、おフランス製のマロングラッセを潰したようなのを使ったので、ちょっと甘味が強すぎるのが難点だったが、モンブランのトッピングクリームと同じくらいの舌触りでいい感じ。豆腐クリームは生クリームよりも日持ちするので、食べきれない分を翌日、翌々日と息子に食べさせた。
「このクリーム、なんでできてるの?」「豆腐」「やっぱりねー」「でも美味いだろ」「まあね」

私とおなじ乳製品アレルギーの方、今年のクリスマスに一度トライしてみませんか。



更新日 2020-04-26 | 作成日 2020-04-26