究極の結露対策

2008.1.31

結露対策大失敗

「結露」は、なぜ発生するかご存じですか。「冬、室内と外気の気温差が大きいと起こる」。世の中的には正解です。でも本当は違うのです。「室内と外気の気温差が大きいから」は、原因ではなく「媒介」のようなものなのです。結露が発生する真の原因は「室内の湿度過剰」にほかならないのです。
冬場、乾燥注意報が出て、テレビの気象予報士は口を揃えて「空気がたいへん乾燥していますので、風邪にご注意ください」とコメントします。でも、そんな乾燥注意報のでた日でも、室内は湿気ているのです。なぜでしょう。それは主に居住者の発汗。信じられないかもしてませんが、とくに就寝中は多量の発汗があるのです。そのほかガスストーブの使用や、流しなどで使っている水道水なども、蒸発するとき室内の湿度を上げます。外気は湿度35%でも、室内は湿度過剰になっていることが多いのです。だから結露は起こります。室内と外気の気温差が大きくても、室内が湿度がなければ結露は起こらないのです。これが真実です。


上の2枚の写真をご覧ください。この写真は、マンション住まいの我家で結露対策をしたときの窓の記録です。左は対策前。右は対策後の状態です。「したとき」と書いた訳は、現在はこのようになっていないということです。マンションというのは、一般に気密性が高く、戸建て住宅よりも結露しやすいと言われています。当方の部屋も盛大に結露しました。サッシの溝から溜まった水が溢れるほどでした。黒カビも発生しますし、とにかく不健康な状況でした。なんとかしなければといろいろ考えました。あるときガラスを二重にした「ペアガラスサッシ」は結露に強い、という知識を得て、なんとかペアガラスと同等の性能を現状の一枚ガラスのサッシで実現できないか思案しました。その結果、たどりついたのは「窓全体をふさいでしまえ」でした。


上の右の写真で窓を塞いでいるのは、通称「ダンプラ」または「プラダン」と言われるプラスティックダンボールというものです。東急ハンズで仕入れました。窓は全部で7ヶ所。そのすべてをこのプラスティックダンボールで塞ぎました。設置には、窓の周囲に磁気ゴムテープを貼り、窓サイズにカットしたプラスティックダンボールの周囲にも同じように磁気ゴムテープを貼り、着脱を容易にしました。完璧な仕事でした。期待どおり結露は全くなくなりました。器用で賢い自分を自分で褒めました。


しかし、それから数ヶ月後、事件が起こります。
冬の寒い深夜、パソコンをいじっていると、何やら焦げ臭い匂いと「ブツブツッ」という不穏な雑音が部屋のどこからか聞こえてくるのです。キーボードをたたいていた手を休め、部屋の中を調べました。特に異常はありませんでした。気のせいかとまたパソコンの前に戻って、作業を再開していると、しばらくして今度はあからさまな「ブチブチッ」という大きな音とともに背後の熱帯魚の水槽付近から白い煙がモウモウとたちはじめたのです。煙といっしょに、ゴムが燃えるような不快な臭いが部屋中に充満してきました。水槽と白い壁の間から、一瞬青白い閃光が光ったあと「ブチブチッ」音も白い悪臭の煙も収まっていきました。


気持ちが悪くなるような悪臭と、前が見えないほどの白い煙が漂う中、とりあえず結露対策に貼り付けた プラスティックダンボールを外し、窓を開けて換気をしました。深夜2時を回っていました。だいぶ換気ができて悪臭も気にならないレベルまで薄まってから、水槽を設置したローボードを動かしました。壁と床の接する角の一ヶ所が黒焦げになっていました。そして水槽から引き出したコードと、延長コードを接合したコンセントが焼けて跡形もなくなっていました。


原因は「壁面の結露」でした。窓が結露しなくなっても、実際には室内に湿気が充満していたため、家具と壁の隙間の空気の動かないところがびっしょりと結露していたのです。そしてコンセント接合部に積もっていた綿埃に結露で溜まった水がしみ込み、コードの接合個所を漏電させていたのです。つまり「室内に湿気があると、冬場かならずどこかに結露を起こす」のです。



浅はかな結露対策のために、あやうく火事を起こしてしまうところでした。興奮が冷めやらぬまま翌朝すぐに、貼ってあったプラスティックダンボールを外しました。そしてさらなる「結露対策」を思案することとなりました。

更新日 2020-04-26 | 作成日 2020-04-26