究極の男の身だしなみ

2008.2.11

究極のショーツ、穿きタイワン

人文学者 井上章一氏の著書「パンツが見える。—羞恥心の現代史」。日本女性の現代下着史のような内容で、日本の女性の多くがショーツを身に着けるようになったのは、つい50年前くらいでしかないそうだ。有名な「白木屋火災事件」以降、女性が下着を付けるようになった、という説を覆しているところは特に興味深い。昭和の初期頃は、裾が乱れて下着がチラリ、なんていうのはなくて「いきなり」だったというわけ。だから、下着を見て興奮するとか、下着フェチなんていうのは、つい最近男が身に付けた嗜好ということだ。
女性には、ブラブラするものはないし、むかしはジーンズみたいなぴったりと股に触れるような仕組みの服はなかったから、基本的に下着なしでなにもとくに困らない。宝塚の男役のスラックス姿が美しいのはブラブラがないから。それに対して男の場合は、陰茎と睾丸というブラブラを収める必要がある。日本には昔から褌(ふんどし)があった。この褌、現代の健康指向で再評価されているそうだ。陰嚢が体からブラブラと外に出ているのは、いうまでもなくクーリングしているからで、ピッチリした下着で締めつけるのは精力減退の原因にもなるらしい。褌は締めつけないから、とても理にかなっていたのだ。先日テレビを見ていたら、タレントの高樹沙耶さんが褌を愛用していると紹介していた。パステルカラーで、レースの縁取りまでしてあった。なんで女に褌が必要なんだか、いまだに納得がいかない。


「上向きか下向きか、それが問題だ」
あなたは上派?下派?と聞かれて、なんのことか分かりますか。
女性には分からないことですが、男には息子(わかりますね)の収めどころに、二派あるのです。下着の中で上向きに収めるのと、下向きのと。くだらないことと思われるかもしれませんが、男にとっては大事なことで、この収まりが悪いとなんとなく居心地が悪いのです。集中力がなくなるような気がします。もちろん、そんなことは意識したことがない、という男性も多いとは思うが、自分の大切なモノにも関心がないような男性というものは、大切にすべき他のことにも無関心なんじゃないだろうか。


付き合う男が「トランクス派」か「ブリーフ派」か、というのは、よくマスコミでも取り上げられます。「カレシがブリーフなんかはいてたら引いちゃう〜」なんていうのから「ぴっちりとブリーフがいい」というのまで、女性の好みも分かれる。ほんとうはこれ以外に「ボクサー派」というのがあるんだな。さらに細部に踏み込むと「ブリーフ派」には、傍流として「ハイレグ派」「ローライズ派」「ティーバック派」があります。「トランクス派」は柄物ダブダブのやつですから、当然ながら「下派」となります。ダブダブトランクス以外は、ゆったりかぴっちりかで、上派か下派に分かれるわけだ。(斜め派はここでは無視)


私は「下派」なのだ。下向きだと攻撃性が弱まるような感じで「ナロー」な気分になれる。ローリングストーンズの、有名なジーンズのレコード「Sticky Fingers」は下向きだが、うらやましいくらい過激だ。しかもめずらしい右曲がり。芸能週刊誌に掲載され話題になった、西城秀樹のギャランドゥなグラビア水着姿は、上向きの過激だった。歩いていてちょっと擦れただけで「反応」してしまった若いころは、下向きだと痛くてしょうがなかったが、寄る年波でそんな心配は無用となった。


そんな下派の私だが、最近すばらしい「上向き専用」男性下着を発見した。
King Style 網ポケット付パンツ トランクス」という台湾の製品。商品タグの裏には「勤絲登服飾股分有限公司(分はほんとうはニンベンつき)」と表記されている。台湾の会社である。この下着のすごいところは、とにかく真面目に男性の持ち物を研究して、生理的・健康的な配慮をきちんとした製品だということ。
パッケージの文章には「全球首創・世界専利 男袋内庫(庫はころもへんがつく)」とある。陰嚢が収まるところはメッシュ地になっている。その少し上には丸い穴が本体に空いていて、穿くとスムーズにその穴に竿が上向きに収まる。穴の前は陰嚢メッシュにつながった布地が覆っていて、上方は空いていて縫製されていない。左右も隙間がある。(分かりにくいが、上のイラストで想像していただくしかない)自慢できるほどりっぱな持ち物の男性は、もしかすると布地の縫製されていない上部から、自慢の息子が顔を覗かせてしまうかもしれない。着用感は実に快適。足入れ部分は短めで、穿いていて、もたつきがない。穿きはじめたのが真冬なので、まだこの下着の真価が発揮されていない。夏場の活躍を期待している。

更新日 2020-04-26 | 作成日 2020-04-26