キレないオヤジたち

2008.3.10

華麗な加齢

最近話題になった「暴走老人!」(藤原智美著)や「キレる大人はなぜ増えた」(香山リカ著)などによると、キレるのは若者だけの専売特許(古)かと思っていたら、キレる大人たちが社会現象になっているらしい。私もこれらの書籍でとりあげられているような、いつキレはじめてもおかしくはない年齢だが、いまのところ安全なオヤジで日々過している。


さて最近、そんな安全オヤジと中学生の息子との、共通のお気にいり音楽アルバムがある。セルジオ・メンデスである。ブラジル音楽とヒップホップを融合させたアルバム「タイムレス」、そして最新アルバムの「モーニング・イン・リオ」。
■「セルジオ・メンデスブラジル66」アナログ盤(左)/モーニング・イン・リオ」最新CD(右)

大ヒットした前作「タイムレス」は、セルジオメンデス氏の子どもが気に入って聴いているヒップホップ音楽に、メロディが乏しいことから企画した、というようなことが、しばらく前の朝日新聞のコラムに書いてあったから、もともと親子繋がりなアルバムだったともいえる。アナログ盤で、昔のセルジオメンデスのアルバム「Sergio Mendes & Brasil '66」「フール・オン・ザ・ヒル」などを聴かせても「すごく良いね」と息子。


このセルジオメンデスの最新アルバム「モーニング・イン・リオ 」の、英語版歌詞カードにレイアウトされた、セルジオメンデス氏のポートレート写真がすばらしい。とにかくカッコいい!白の半袖コットンシャツにリネンのオフホワイトマフラー、白いボルサリーノ帽、サングラス。黒ずくめのスタイルなど、どの写真もホレボレするほどカッコいいオヤジだ。ネットで調べたら1941年2月11日生まれ(おお、私と同じ誕生日じゃん!)の、67歳。ちゃんとしたスタイリストのおかげ、といってしまえばそれっきりだが、似合うだけの魅力があるということ。この魅力の持続はすばらしいものがある。








■「バカラック80歳の新境地」朝日新聞記事より
(毎度の無断転載お許しを)

先日の朝日新聞には、11年ぶりに来日公演を開いたバート・バカラックのインタビュー記事が出ていた。今年80歳になるバカラック氏、19、12、9歳の3人の子どもがいるとのこと。なんと一番下の子は70歳のときに授かったことになる。上原謙もビツクリな元気さ。


この二人は、たまたま音楽関係の大スターだが、おなじように年齢とは無縁で活躍しているオヤジたちの存在と出会うと、武者震いするような、アドレナリンがゴゴッと身体に流れるのを感じる。持続したエネルギーをずっと切らさずに活き活きと生きている、そうした「キレない大人」にわたしもなりたいものだ。
(・・・おあとがよろしいようで)



若いとか年とっているとかいうことは、凡庸な人たちの間にだけあることだ。
あるときは年をとり、あるときは若くなるもの。
ちょうど、うれしいときがあったり悲しいときがあったりするように。



ヘルマン・ヘッセ

更新日 2020-04-26 | 作成日 2020-04-26