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アクセサリー・エクスタシー〈2〉

  

「なんだかわからないけど、イィ〜!」

※エクスタシーオーディオコラムの最初の一篇「アクセサリー・エクスタシー」を読んでいない方は、先にお読みになってからどうぞ。
秋葉原での通り魔殺傷事件以降、電気街口へ足を運んでいない。秋葉原での買物は、もっぱら中央口のヨドバシカメラで済ませている。あまりにも生々しい事件直後の映像が脳裏に張り付いたままだ。40年にわたって隅々まで知りつくしている、大好きな街の景色だったのに。9月11日のテレビで、今年3月に起きたJR荒川沖駅での8人連続殺傷事件の犯人から、テレビ局へ送られてきたという二通の手紙の内容を公表していた。「罪悪感なんてなにもない」と書かれた犯人からの手紙の内容は、怒りを通り越して恐怖すら感じた。「刑事責任能力のある狂人」による無差別殺人事件は、予防も取締りも不可能だ。
我が家の中学生の息子は iPod を欲しがっているが、雑踏のなかで耳を塞いで、廻りに気配ることを忘れて歩くことがどれだけ恐ろしいことかを説くしかない。なんともやりきれない時代になってしまったものだ。
というわけで最初のコラムに書いたような、秋葉原のエレクトロニクスの影に隠れた健全な猥雑さを味わうことから、すっかり遠ざかってしまっている。だが、私がアキバへ足を運ばなかったわずかな間にも、アダルトグッズ業界は着実に進歩している。(強引な展開)
出ました!フェアリーミニミニ。「電マ」と略称される電気マッサージ器の超ミニ版である。「電マ」はWikipedia にも丁寧に解説されている。
ひと言でいえば、家庭用マッサージ器の形状を隠れみのにしたアダルトグッズ。買うのがあんまり恥ずかしくないバイブレーターである。ちゃんとした電気製品だから、普通のアダルトグッズのように故障したりしないはずだ。ブルブルする先端の丸いところに差し込んで使う、柔らかい素材の複雑な形のアタッチメントが何種類も用意されていて、いろいろ楽しめるそうだ。だが、もともと肩凝りをほぐすためにつくられたものなのでサイズが大きい。そのサイズを小さめにつくった小型電マはすでに販売されていたが、写真をごらんになればお分かりのとおり、まだ大きかったのだ。さらに小さい超ミニ電マの登場なのである。ある意味「本来」の大きさになったとも言える。これはヒットしそうだ。笑えるのは、元のサイズの電動マッサージ器をそのまま小型化したのだが、あまりのもジャストサイズなため、もはや「電マ」には見えないということだ。
「電マ」は一見アダルトグッズには見えないセックスアクセサリーだが、以下にご紹介するのは、一見オーディオ製品には見えないオーディオアクセサリーだ。「インフラノイズ」というオーディオアクセサリー機器メーカーの製品。ムジカライザー、アナログリコンストラクター、クロックコンバーター、ワードクロック・ジェネレーター・・・。どんな機能のオーディオ製品か分かる人はかなりの通だ。それらの不可思議オーディオアクセサリー群にまた新たに加わったのが「サウンドリマスターRMS-1000」である。オーディオ製品というより、まるで弁当箱だ。安っぽい。重量は900グラムしかない。中身の詰まったほんとうの弁当箱といい勝負だ。
この「サウンドリマスターRMS-1000」。いい加減に言うと、アナログ信号をデジタル変換し特殊なフィルターを通した後、再度アナログ変換することで、音質を改善する装置なのだそうだ。ページ下にメーカーの解説を転載したが、3回読みかえしてもその原理がよく理解できなかった。入力信号と出力信号に変化はないのだと???。
最近アクセサリー製品を仕入れていなかったこともあり飛びついてしまった。左はプリアンプの上に乗っけて試用中の様子だ。明るく輝く青色ダイオードが、いかがわしさを強調していていい。他のインフラノイズ製品と同じ弁当箱サイズの軽い躯体のまさにブラックボックス。
ひとつだけ分かっているのは、デジタル音声データというのは、やりようによってはなぜかオリジナルの音質を向上させることができるという事実。アナログ世代には理解不可能な現象だが、本当のことだ。アナログ再生では音質重視のためスイッチやケーブルの接点を減らすとか、使用する機器の回路はシンプルなものでということが、そのまま再生音のクオリティに繋がっていた。ところが、デジタル再生ではその常識は当てはまらない。
私のCD再生システムは、ユニバーサルプレーヤーに単体DAコンバーターを繋ぎ、ワードクロック・ジェネレーターABS-7777で外部クロック制御、そしてこのサウンドリマスターRMS-1000と、わんさか繋いでいる。もちろんそれぞれの機器を繋ぐことで音質改善効果があるからだ。
最初はアナログレコードでRMS-1000を通した音楽を聴きはじめた。
「おお!」音場感がすばらしい。音像が二回りも大きくなったような感じで、エコー成分もたっぷり聴こえるようになったため、演奏空間が見えるようだ。高音がどうとかいうような部分的な音質の変化はない。音楽そのものを愉しめる方向性の改善というのが最適な表現かもしれない。
次は、上記のシステムによるCD再生。アナログ音源のときほど劇的ではないが、同様の音場感の改善が認められた。
最後にメーカーの説明にあるiPod音源での音質改善だ。残念がらiPodを持っていないので、同じ音源である Mac の iTune の出力を繋いで再生してみた。
「うーむ」良くなってる。 iTune の再生音を先に試聴していたら、アナログのときと同様の驚きがあったかもしれない。圧縮の強い「AAC」ファイルでは、やっぱり音の濃さがいまいち出ないが、「Apple ロスレスエンコーダー」形式の低圧縮ファイルは、かなりな密度感が戻っている。音場感もいい。最低音部と超高音部は、オリジナルのようには再現されないみたいだ。
このRMS-1000、「電マ」のアタッチメント(左写真)ではないが、二種類の音質変化を楽しめる。「セッション」と「アンサンブル」の2ポジション。「セッション」はジャズ系など、「アンサンブル」はクラシック系の音色だという。こういう音色の違いをつくる機能を持った機器は好きではないが、私のシステムでは、音楽ジャンルにかかわらず「セッション」ポジションが好印象だ。「アンサンブル」では、せっかくの音場感が平板に聴こえる。
こういうイージーに使えて、確実にエクスタシーを味わえるアクセサリーはそんなにない。超ミニ電マがどれほど「イイ」のかは知らないが、この黒い弁当箱がどのシステムでも美味しいオーディオエクスタシーを味わわせてくれることは、たぶん間違いない。
■以下は「RMS-1000 」を開発したメーカーの解説文です。

● 最近ではもうリマスター盤という言葉はめずらしくはありません。歴史的な名演奏をマスターテープから、最新のデジタル技術を駆使して新たに編集作業を行なうのがリマスタリングです。デジタルリマスタリングとも呼ばれますが、ビット数やフォーマットの変更で、音質的に既発売の盤より優れたものが出来上がります。音がわるいとあきらめていた名演奏でも最新録音と錯覚されるような優れた音質のリマスター盤が出来るj時代になりました
●スタジオという特殊な環境で行なわれたリマスタリングが自宅のリスニングルームでも可能になります、録音に使うためのリマスタリング技術を、そのまま再生時に応用すればさらに高音質再生が可能です。サウンドリマスター「RMS-1000」をアナログ信号経路につなぐだけで、リマスタリング作業と高音質再生のどちらもが簡単に行なえます
●動作原理=ラインレベルのアナログ信号をRMS-1000に接続→入力されたアナログ信号はフィルターを通過後、高精度のADコンバーターにてハイビット、ハイサンプリングのデジタル信号に変換→デジタルデーター信号は特殊なフィルターを通り、次に光信号に変換→音のハーモニーを高める加工を施した、短いオプティカルファイバーで整音後に再びデジタル信号化→ハイビット、ハイサンプリングのDAコンバーターに入力→内蔵のクロック発振器で造られたクロック信号は、トランジェントを高めるクロック整形回路から出力、AD/DAコンバーターを制御→DAコンバーターのアナログ出力は、理想的な音質のアクティヴフィルターを通過後出力されます
●入力信号と出力信号は可聴帯域内では基本的に変化は有りません。途中でデジタル信号に変換されるのですがアナログ入力信号とアナログ出力信号の特性上の差もありません。アナログ信号波形を変化さすことなく音質だけが向上!!SN比も約80dB以上有りリマスタリングには充分なものです
■使用方法■
リマスターしたいアナログ信号を入力し、出力をデジタルレコーダーあるいはADコンバーターのアナログ入力に接続
リスニングルームでの再生に使用の場合はCDプレーアー、DAコンバーターのアナログ出力とプリアンプ入力の間に接続
フォノイコライザー出力とプリアンプ入力の間
プリアンプ出力とメインアンプ入力の間などに接続
● 音楽には和声の使い方に制限のある古典クラシック音楽、和声制限枠のない自由な表現の許される音楽、またセッションで個人の演奏表現が重要視されるものなどがあります。ジャンルだけでなく演奏家の目指すものは、各人異なるので全ての音楽ジャンルにて、オーディオ装置では一律に音質を高めるというのは難しいものがあります。この問題の解決方法として「RMS-1000」は音楽表現の選択スイッチを設定。扱う音楽の種類、演奏表現の違いに応じて音質を選択できます。もちろん可聴帯域信号波形が変わるのではなく、表現力や音質が変化するだけです。
選択は二者選択ですが、この二つの差は大変大きいものです。参考としてですが、オーディオスピーカーの名機としてジャズの再生ではJBLが、クラシック音楽の再生にはタンノイが適したものとされています。各ジャンルにあてはまらぬ音楽、またオーバーラップしたものはどうかという疑問も出るわけですが、オーディオ機器では音質で音楽への相性があるのは事実です。「RMS- 1000」ではこの二者選択で、セッションとアンサンブルのポジションを設定。セッションは個人の演奏表現を重視した音楽、例えばモダンジャズ等に適した音質!アンサンブルはオーケストラ、カルテット、コーラスなど音の重なりを重視した音楽、クラシック等に適した音質です。しかしこの二つは絶対的なものではありません。ソリストやグループの目指すものがクラシックやジャズの枠にとどまらぬものもあるわけです。また当然にどちらの方向でもない演奏もあることでしょう。その場合はどちらが適するかは「RMS- 1000」の使用者が選択
「RMS-1000」のポジションによる具体的な音の違いですが、例として次のようなことも起こります。オールマイティな音質のスピーカーを使用している場合に「RMS-1000」を接続、ポジションをセッションに、ジャズ名演奏を再生した時、まるで使用中のスピーカーがオールドJBLの名機ような音質に変化するのを感じることもあります。逆に音質にきわだった特徴のない日本製スピーカーでも、ポジションをアンサンブルにしてクラシックの名演奏を再生したら、スピーカーがクラシック音楽を得意とする名機に変化したような錯覚を覚えることもあるでしょう。それほどに「RMS-1000」は敏感に音楽の違いによる再生音質を向上させます
●劣悪な音質のソースでも修復可能:「RMS-1000」のもう一つの大きな効果として、デジタルオーディオプレーヤーの音質アップがあります。今世界中で数千万人が愛用していると思われるこの携帯機器の普及はうれしいことですが、殆どの場合MP-3と呼ばれるデジタル圧縮技術を使い音源ソースが加工されています。その結果この便利なデジタルオーディオプレーヤーを家庭のオーディオ装置につないでも、CDなどとは程遠い劣化した音質で再生されます。しかしサウンドリマスター「RMS-1000」に劣化した信号を通すことで、元の音の良い音源ソースに極めて近い音質に復元されます。周波数特性、歪み感、トランジェント、ディティール、音色はもちろん演奏のダイナミックレンジ、その存在感までもが修復。まるで小型ラジオのような音質がリスニングルームでのいつもの音に生まれ変わるのに驚かれることでしょう!!
●リマスタリングツール
●S/N比:80dB以上
●アナログ入力:(スイッチ切替)RCAステレオ(アンバランス)x1系統 ステレオミニジャックx1系統
●アナログ出力:RCAステレオ(アンバランス)x1系統
●入力インピーダンス:10Kohms
●出力インピーダンス:110ohms
●最大入力:RCA3.6Vp-p、ステレオミニジャック1.0Vp-p
●周波数特性:10Hz〜37KHz(-3dB)
●構造無共振導電性繊維による電磁波シールドマグネット浮上による不要振動遮断構造
●主な機能インプット・セレクター(2ポジション)モード・セレクト(2ポジション)
●安定化時間:10分(気温20℃)
●外形寸法:190(W)X56(H)X220(D)mm
●付属品:AC電源ケーブル
●重量:900g
●消費電力:AC100V,50/60Hz,4W

更新日 2020-04-26 | 作成日 2020-04-26