電源のエクスタシー

2007.11.05

痺れるような・・・


2007年は、不二家の「期限切れ原料不正使用」に幕を開け、ミートポークの「ひき肉偽装」、石原製菓の「白い恋人賞味期限改ざん」、老舗赤福の「赤福餅製造日偽装」、締めはブランド割烹吉兆の「偽装ブランド・消費期限偽装販売」と、食に関する不祥事発覚オンパレードの一年だった。2002年の雪印事件のように、集団食中毒を起こしたりする前に公になって良かったということか。

つい最近、食べ物と病気(がん)のリスクの関係についての新聞記事があった。積極的な摂取が身体に良いとされてきた「野菜・果物」が、それほど効果的ではないということでちょっとショック。「リノール酸」のようにとても良いとされてきた食材が、逆に身体に良くないと、まったく反対の評価がくだったりしたこともあったから、いちがいに決めつけるというのも良くないみたいだ。ま、なんでも程々にバランスよくということなんでしょう。

オーディオ機器すべてに影響を与えてる、大きな要因のひとつに「電源」がある。ハイエンドオーディオショップに鎮座する、高額で巨大なオーディオアンプも中を覗けば、そのほとんどが90%以上の面積を電源回路が占めている。唯一、最近よく見かけるデジタルアンプは、それに比べるとスリムな電源を使っているものが多く、ほんとに電源があるの?と疑いたくなるようなシャーシ内部だったりする。

「自作オーディオのエクスタシー」のところでも触れたが、私のシステムは、プリアンプからマルチチャンネルのパワーアンプまで、全部を電池駆動させていたことがある。その効果はすばらしく、商用電源のノイズを一切受けることがないため、非常にSNがいいシステムであった。

上の写真は、オーディオを設置しているリビングルームの壁に取り付けた「オーディオ専用電源」配電盤だ。メインの配電盤から分岐させてある。この配電盤からさらに極太のケーブルを都合8本天井を引き回して、オーディオ機器に電力を供給している。

これは、FASTブランドのアンプを扱っている、出水電器の島元さんの「オーディオ専用電源システム」です。究極はなんと、オーディオ専用の電柱・トランスを設置して電源を供給する。最近、ジャズオーディオ評論をしている寺島靖国氏がこれを導入している。(実は一昨年、島元さんが寺島さんを我家に連れてきて、当方のシステムの音を聴かせるということがあったのだ。当時、なぜそういうことになったのかよく分からなかったが、当方の専用電源の音を寺島さんに聴かせて、専用電柱電源設置を説得するのが目的だったようだ)


この専用電源を導入するにあたっては、事前に島元さんが、端末に二口のコンセントがついた長い極太ケーブル一本を持参。元の配電盤のブレーカーのひとつに配線してプリアンプとCDプレーヤーに電源を供給して試聴するのだ・・・。

それはそれは、体験した人しかわからないエクスタシーだった。たった一本のケーブルで、しかも プリアンプとCDプレーヤーに電源供給しただけなのに!

音のあばれと表現するのだろうか、音のきつさやざらつきがウソのように無くなったのだ。歌声が実に生々しく再現される。今までいろいろと電源ケーブルを取り換えたり、オーディオ用と銘打ったコンセントボックスを使ったりと、それなりに電源改善に関わってきたのだが、そうしたアクセサリー機器による効果は、ほとんど「気のせい」程度のものだった。

自分のシステムにこんなにも潜在能力が備わっていたのか!と、感動を通り越して呆れるばかりだった。「これをちゃんと導入してパワーアンプまで全部供給したら、これは失神するほどのエクスタシーを味わえるに違いない」たぶんそんなことを考えたと思う。即座に工事を依頼したのだった。50万以上もする工事費用が、ちっとも高いとおもわない。惜しくも何ともないのだ。ほんと、こんなの初めての感覚だった。

かくして工事は行われ、マンションの梁に邪魔された天井付近には、覗き窓が何ヶ所も開けられ、写真のような極太ケーブルが引き回された。初めてこの電源ですべてをまかなって音出しした日のことは忘れない。外出先から帰宅した妻は、いつもキッチンに向かいながら「ちょっと音を小さくしてもらえます」と、私の背中に冷た〜いひとことを投げつけるのであるが、この日はいつまで経ってもその言葉が発せられないのだ。調子に乗って普段あまり聴かないロック(ローリングストーンズのサティスファクション)を再生しても、妻の声は聞こえなかった。なんというエクスタシー!音にエクスタシーを感じたあとに、思いがけずこんな屈折したエクスタシーまで味わえるとは。
何万円もする電源ケーブルや、何十万円もする電源供給アンプを買うくらいなら、ぜひこの専用電源、さらには専用電柱の導入をお勧めする。

更新日 2020-04-26 | 作成日 2020-04-26